外観
栃木県足利市に建築した平屋の住宅。立地は、市役所にも近い市の中心部でいながら、古い歴史を感じさせるお寺なども多い所です。土地柄、和の外観が合います。設計は横浜の「ホームアシスト(株)1級建築事務所」さんです。何度か木材の加工品を送る仕事などをさせてもらううちに、「木を生かした家を建てたいというお客さんがいるのですが、やってみませんか?」という話があり、私たちが施工することになりました(外構工事は別発注となりました)。敷地のまわりは住宅が立ち並ぶ予定なので、写真のように外に向けた窓は最小限にしてプライバシーを確保し、かわりに中庭を設けています。
外観(入口)
敷地と正面の道路には高低差が多少あり、玄関ポーチは階段を数段上る設計です。パブリック(公共側)とプライベート(家族側)の空間にめりはりがついて、この家の長所になっています。
ポーチの石畳は、地元栃木県の宇都宮市・大谷という町で採石されている「大谷石」を使っています。
玄関ホール
玄関ホールです。内装も和を基調にして設計されました。
玄関の石畳も大谷石を使いポーチと連結させています。
ホールや主な居室の床は全てナラの無垢フローリングを使い、自然素材の「蜜ロウワックス」で仕上げました。
天井は秋田杉の羽目板です。
上がり口の丸棒は手すりです。この空間を壊さないように
と配慮されたデザインになっています。
玄関
玄関には、ディスプレイとしての役目もある下足箱の他に、右に写っている折戸の向こうにはシューズクローゼットも用意されています。納まりきらない靴や外で使う用具もすっきり収納できます。
トイレ
玄関の近くに客用のトイレがあります。写真は自社製作した収納付カウンター+手洗いです。
LDK
キッチン方向を見たLDKです。ここの勾配天井にも秋田杉を用い、ゆっくりとくつろげる雰囲気になっています。この家の照明は、基本的にダウンライトを複数配置する形になっており、器具自体の存在感やまぶしさがあまり感じません。
左の窓の向こう側は中庭になっていて、庭越しに子供室が見えています。
台所
キッチンには吊戸棚を設けず、また後ろにも最低限の戸棚しかありません。常温で保管できる食材や使用頻度の低い食器などは全てとなりのパントリー室に収納します。
パントリー(食品庫)
パントリーは細長の部屋でこのように可動式の棚が何段もあります。勝手にもあるので、車で買い物をした後すぐにこの部屋に収納できる仕組みです。
子供室
子供室もLDKのように勾配天井ですが、こちらは梁を表しにしています。
今現在はワンルームにしており、子供たちの成長に合わせて将来部屋を仕切っていくときに、この構造体を利用するという方針です。
間仕切がどこにきても問題ないように、壁のコンセントも細かくたくさん付いてます。
トイレ
家族用のトイレはタンクレス式なので、余ったスペースを使って収納棚を設けています。
ウォークインクローゼット
ウォークインクローゼットです。部屋全体を有効に活用できるようにハンガーパイプが縦横に備えられました。
ウォークインクローゼット
洋室
ディティール紹介。
内装建具は全て業者と打ち合わせしながら造ったオーダーメイドです。ほとんどの扉は写真のように上から吊られた片引き戸になっていて、誰でも開けやすくて見た目もすっきりします。
吊りレールを隠すボックスまでもタモ材を使い、扉はタモの単板貼り仕上げにして質感を統一しています。
引き戸の引き手や開き戸のドアノブもデザインを重視して選びました。
台所
枠や棚・その他の細かい木部にも、無垢フローリングの質感に負けないようにタモの集成材を多く使っています。経年しても赤みが少なく、木の質感を生かしたままでナラ材のような落ち着いた仕上がりになります。
中庭
最後に中庭を紹介。
ロの字型の家に囲まれた中庭は外からのプライバシーが保たれるので家族内での使い勝手がとても良いです。
室内と中庭の高さの違いを少なくして内と外の連続性を高めています。各部屋がちょうどいい距離感を保ちながら、この中庭を中心に集まっている雰囲気が特徴的です。採光や積雪をあまり考慮しなくてもよい地域ならではの設計ではないでしょうか。
施主さんは中庭の中心にシンボリックな樹木を置こうかなと検討中でした。