外観
まず完成写真を見てもらいましょう。これは高館公園内にあるテニスコート(わか杉国体のソフトテニス競技が行われた場所です)の中にある、東屋です。休憩や荷物置き場、降雨時の非難場所など、多目的に使われる空間です。
大館市が建築主で、私たちは木工事という形でこの建築に携わりました。
ちなみに設計は大館市を本拠地にしている「アトリエ105」さんです。
外の展望と広い出入口が必要になるので、筋交いを使わず、また壁を最小限にして、なおかつ地域の特産である秋田杉を生かした建物にすることがテーマでした。
工場に搬入された木材です。構造材のほとんどが秋田杉です。
今回の建物は、構造材が全て表しなので金物で補強することは一切せず、昔ながらの木組みと堅木を用いたダボや込み栓によって組み立てていきます。工場での加工精度が重要な位置を占めました。
木材を加工した様子です。木には長さに限りがあるので、長い部材が必要なときには部材の端に複雑な形の加工を施してオス・メスを作り、組み立てます(「継手」と呼ばれるものです)。
写真に写っている部材は、組んだ後に車知栓を差し込んで完成させる「竿車知栓継ぎです。
雇いほぞと車知栓を使って、梁材どうしを固定した様子です。柱をまたいで繋ぎ合わせることができる継手です。どんなに力が加わっても、木材が破壊されない限りスポッと抜けることはありません。
先ほどの写真の部材も、組み合わせるとこれに似た形になります。
短い部材ですが、これも組み合わせて合成梁にします。
無数に開いた穴は、3センチ角程度のダボを通すためのものです。
一つでも場所を間違えると現場での作業は大きく遅れてしまいます。
先ほどの部材の間にダボを通し、一段ずつ組んで合成梁を作っていきます。普通の梁と違い、建物の揺れや変形を防止し、耐力を高める効果があります。
合成梁が出来上がった途端、建物が美しくなりました。
屋根に張る下地板は写真のように斜めに釘止めしていきます。これも屋根を剛強にするための設計士さんの工夫です。
建物ができていく様子を定点観測しました。
軒先も構造がそのまま意匠に現れています。